2017年7月2日日曜日

トルストイの印度寓話05『猿と豌豆』

トルストイ少年少女読本[3] 子供の智恵  米川正夫 訳 河出書房 1946 昭和21年

トルストイの印度寓話05『猿と豌豆』
(トルストイのアーズブカ080『おサルとえんどう豆』)
 一匹の猿が、両手に一ぱい豌豆を持つて歩いてゐました。すると、ひと粒の豌豆が転がり落ちたので、それを拾ひ上げようとする拍子に、二十ばかりばら/\ とこぼしました。猿は慌てて拾はうとして、みんなばらまいてしまひました。そのとき猿は腹を立て、ありたけの豌豆を投げ散らして、逃げて行つてしまひまし た。
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1169127/9

露国民衆文学全書 第三編 ろしあ童話集  昇曙夢(のぼりしょうむ) 大倉書店 1919 大正8年
ろしあ童話集トルストイ物語05『猿と豌豆』

春陽堂少年文庫 トルストイ童話集 昇曙夢(のぼりしょうむ) 1932 昭和7年
トルストイ童話集童話篇05『猿と豌豆』
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1168514/8

The Complete Works of Count Tolstoy Volume XII.
Fables for Children 1869-1872
by Count Lev N. Tolstoy
Translated from the Original Russian and edited by Leo Wiener
Assistant Professor of Slavic Langauages at Harvard University
Boston Dana Estes & Company Publishers
II. ADAPTATIONS AND IMITATIONS OF HINDOO FABLES

5.THE MONKEY AND THE PEASE
A Monkey was carrying both her hands full of pease. A pea dropped on the ground; the Monkey wanted to pick it up, and dropped twenty peas. She rushed to pick them up and lost all the rest. Then she flew into a rage, swept away all the pease and ran off.
https://archive.org/stream/completeworksofc12tols?ui=embed#page/20/mode/2up

二十世紀少年新節用 教育講究会 編 山本文友堂 1910 明治42年
二十世紀新節用童話02『猿と豌豆』
 両手に一ぱい豌豆(えんどう)を握つた猿が、コセ/\と路を歩いて居ると、どうした機会(はずみ)か、一粒の豌豆(えんどう)が手の中からコロ/\と落 ちた。
猿と豌豆挿絵1
猿め、それを拾わうとすると、また二十粒もこぼした。その二十粒を拾わうとして、今度わ悉皆(みんな)こぼして了(しま)いました。
 そこで、気短(きみじか)の猿め、大(おう)きに腹を立てゝ、こぼれた豌豆を八方に蹴散(けちら)して、サツサと走つて往(いつ)て了(しま)いまし た。
 これわ『一文惜みの百知らず』と云う譬喩(たとえ)を童話(はなし)にしたものであります。
猿と豌豆挿絵2


仏典

昭和新纂 国訳大蔵経 経典部 第二巻 東方書院
百喩経4.23(88)『獼猴把豆喩』
獼猴豆を把ふるの喩
 昔一獼猴(みこう)有り、一把(いちは)の豆を持(ぢ)して、誤つて一豆(いぢづ)を落して地に在り、便(すなは)ち手中(しゆちう)の豆を捨てて、其 一(そのいち)を覓(もと)めんと欲す。未だ一豆を得ざるに、先(さき)に捨つる所の者鶏鴨食尽(けいがふじきじん)せり。
 凡夫(ぼんぷ)出家も亦復(また/\)是(かく)の如し。初(はじめ)に一戒(いつかい)を毀(こぼ)ちて悔ゆる能(あた)はず、不悔(ふげ)を以ての 故に、放逸滋蔓(はういつじまん)し一切都(すべ)て捨つ。彼(かの)獼猴の其一豆を失ひ一切都て失ふが如し。
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1172018/170

ジャータカ 176.『KALAYA-MUTTHI-JATAKA』.
Kali.07.2『人間と猿とレンズ豆』


類話

タウンゼント46.少年とハシバミの実
 少年は、ハシバミの実がたくさん入った壷に手を突っ込み、つかめるだけつかんだ。しかし、壷から手を抜こうとして、途中で手が引っかかり、抜けなくなっ てしまった。それでも、少年は、ハシバミの実を諦めようとはせずに渋っていたので、依然手は抜けぬまま、……少年は、涙を流して身の不幸を嘆いた。
 すると、側にいた人がこう言った。
「半分で我慢しなさい。そうすれば、すぐに抜ける」
一度に、欲張るな!

日本昔話通観28 昔話タイプ・インデックス 稲田浩二 同朋舎
昔話インデックス866『壷の手』

ト ルストイの印度寓話対照表
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